建築物データベース

山形の建築作品一覧

名称 山形県立新庄病院 ~最上二次保健医療圏唯一の中核病院~
概要

■特徴

 山形県の北部、最上地域に位置する新庄市は、山並みに囲まれた自然豊かな地域となっています。当施設の外観は、周辺に広がる豊かな山並みに調和するよう、裾野のように広がり安定感の感じられる低層部と、山並みに呼応するよう水平性を強調した高層部とを一体的に計画しています。
 建物の顔となる1階正面は、天井に県産スギLVL材を使用した「山型」キャノピーとスチールサッシにより、来院者を迎え入れる開放性の高い設えとしています。また、外壁色は、かつて新庄・最上地域で盛んだった養蚕の繭の色をイメージして仕上げています。
 内部は、県産スギ・カラマツをLVL材として、天井・壁・家具・建具の仕上に活用し、院内全体にわたり県産木を主役に据えた温かみのある空間を実現しています。

名称 シェルターインクルーシブプレイス コパル(山形市南部児童遊戯施設)
概要

事業基本方針
すべての子どもたちが「生きる力を育む、未来の学び場」として

特徴
 美しい山並みに呼応する雲のような屋根が特徴的な本施設は、「障がいの有無や、人種、言語、家庭環境に関わらず、多様な個性や背景を持った全ての子どもたちの遊びと学びの場」という基本方針を持つ、全国的にも事例の少ないインクルーシブ施設で、最大25mスパンの山形市産カラマツ集成材のアーチ梁が子ども達をあたたかく包み込む空間構成となります。
 山形市がPFI法に基づき実施する当事業は、シェルターなど10社が出資して設立した特別目的会社(SPC)「株式会社夢の公園」が15年間の運営・維持管理を行います。

名称 国登録有形文化財 旧農林省蚕糸試験場新庄支場(第4蚕室)
概要

■施設概要
 国登録有形文化財の旧農林省蚕糸試験場新庄支場は昭和9年に開設され、約10haの広大な敷地面積を活かして蚕種の研究や桑の栽培等、蚕糸業の発展に寄与し「原蚕種」の名称で市民からも親しまれてきた施設です。
 昭和初期に全国に建設された蚕糸試験機関の中で、敷地環境と建造物が合わせて保存され蚕室や試験施設が当時の面影を残し複数棟が現存するのは 全国的にも新庄支場だけであり、新庄市では国から施設全体の譲与を受け、 地域の歴史と文化を将来へ伝えるべき地域の「宝」として平成25年に国の登録有形文化財に登録されました。

名称 光の湊~酒田駅前の新たな船出~
概要

■事業概要
 山形県酒田市は北側に鳥海山、南側に月山を望み、庄内平野の中央を流れる最上川の河口付近に位置する。江戸時代には西回り航路が整い、北前船交易により湊町、商人のまちとして栄えた。中心市街地で当時の豊かな文化が今なお残る中町エリアから1.5kmほど離れたJR酒田駅の正面で現在もプロジェクトは進んでいる。
 官民の垣根を超え、複合する用途間の相乗効果により、酒田にしかないヒト・モノが集まり、ここでしかないコトが生まれる「陸の湊」のような建築をつくり、駅前と中町との回遊性の向上と中心市街地全体の発展をめざした。

名称 旧長井小学校第一校舎
概要

■設計趣旨
地域の人々の「記憶」と「アイデンティティー」を継承する平成の大改修
 旧長井小学校第一校舎は昭和8年に建設された木造校舎で、国の登録有形文化財に登録されています。平成27年に耐震性能不足により使用禁止となり、小学校としての役目を終えましたが、82年間にわたり多くの卒業生を送り出してきました。
 長井市は、市民から愛されているこの建物を存続させることを決定し、第一校舎は学校施設から学びをテーマとした地域の交流施設として生まれ変わることとなりました。

未来へ継なぐ地域の力
 私たちは「建物が地域のために利活用できること」「安全・安心で、快適な建物とすること」「人々の記憶やアイデンティティーを継承すること」をテーマとして設計に取り組みました。免震レトロフィットの採用や防耐火設計など、私たちの持つ建築技術を駆使して建物の必要性能を確保するとともに、文化財としての意匠、また地域の人々に愛されている校舎の姿をできる限り保ち、老朽化改修や断熱改修を施す計画としました。
 工事施工にあたっては、地域のランドマークである本建物は、地域の職人の手によって次世代へ継なぐべきと考え、設計段階から地域の職人の力を活かす改修計画を立案し、地元のゼネコンや大工、曳家業者などの地域の力を結集し、耐震診断から5年を超える歳月を経て建物完成を迎えました。

名称 旅籠町にぎわい拠点「gu/ra」(グラ)
概要

■事業概要
 この施設は、2001年に山形市に寄贈された、御典医の流れを汲む代々医師の家系、木村家の住居と診療所「旧木村邸」を「市民の集う賑わい拠点」として整備・開発した文化複合施設です。整備にあたっては、旧木村邸の土蔵と祠、そして庭木を再生利用しました。
 石蔵は、旧半田商店(市内駅西)が飼料倉庫として使用していた、今は採掘されていない中川石(南陽市)で造られた歴史的建造物を、現代の建築技術により蘇らせ、山形の遺産となる後世に残る建築物です。また、土蔵は補強改修にメンテナンスを加えて、現代風にアレンジしました。敷地の半分以上を占める「開かれた広場」は、重厚な中川石と緑溢れる自由広場を整備、市民が自由に集い立ち寄れる「まちなかの居場所」です。

●事業主体:山形建設(株)(事業企画・設計・建設)
●運営主体:(株)旅篭町開発(山形建設(株)、山形パナソニック(株)共同出資)
●事業内容:レストラン、クラフトストア、ラウンジホール、広場の運営

名称 荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)
概要

■設計趣旨
 地域の文化芸術活動拠点となる多目的ホールである。敷地は、豊かな自然に囲われ、歴史的な文化財や大学、ギャラリーが点在する市の文化エリアの中にある。学生や地域の芸術団体の方々に日常的に親しまれてきた旧文化会館を継承しつつ、その活動の幅をより広げるための機能の拡充などが求められた。
 市民の方々が鑑賞者となり演者にもなる“地域のためのホール”として、大ホールを回廊空間で包む鞘堂形式を採用した。回廊は日常的に市民の方々に開放され、裏表なく色々な場所で活動することができ、特別な公演の際には舞台上下のパーティションによってバックヤードをつくることも可能としている。
 中央の大ホールは、ホール全体に生音が細かく全体に響き渡るワインヤード型とし、どの客席からも直接舞台に降りてくることができる空間構成としている。さらに、ホールの奥行を可能な限り抑えることで、客席と演者が一体感のあるホールを目指している。
 建物の外観は、いくつかの小屋根群が集まる形として、建物の大きさを分節している。また、それぞれの小屋根は外周に向かって低くなってゆき、道路沿いにおいては1階建てくらいの低さまで高さを抑えている。このように外観の意匠をコントロールすることで、周辺の街並みとの調和を目指している。
 板金の風合い、コンクリートの左官仕上げ、表情豊かな木ルーバーの自然さなど、人の手がつくり上げた、人の温もりが感じられるこの新しいホールは、自然環境と対話するように、時間や光の加減などの状況によりその表情を変化させていく。地域の方々が末長く文化を紡いでいくように、建物も周辺の風景と調和していき、地域の方々の文化芸術活動で賑わう鶴岡市の新しい風景となればと思っている。

名称 山形県立東桜学館中学校・高等学校
概要

■設計趣旨
 山形県初の併設型中高一貫校が東根市に建設されました。商業・業務施設の集積著しい東根市中央地区の一画に敷地があります。敷地東側にグラウンドを配し、コの字型の平面計画となる2棟の校舎棟と体育館棟が西側の商業街区に面しています。そこにプロムナード・中庭・駐車場などのオープンスペースを介在させ、周辺への視覚的圧迫感を軽減できるようにしました。外装の一部には木製ルーバーを施し、自然の風合いを併せ持つ落ち着きと品格ある外観です。内部では明快な動線の設定を重視し、中・高6学年の教室群と特別教室群・管理系諸室群などのクラスターが多層的に重なり、内装には県産木材を多用し、ぬくもりある落ち着いた学習環境づくりの実現を図っています。さらに教室棟と体育館棟をつなぐ交流スペースでは中・高の生徒が交わり、活気と賑わい溢れる場になることが期待されます。

名称 南陽市文化会館
概要

■基本設計コンセント
(1)芸術文化の交流施設 (2)先導的な木造施設 (3)多機能型ホール (4)市民が中心の施設 (5)地元資源活用の施設整備 (6)防災拠点施設

■事業概要
 南陽市では、近年の公共建築物木材利用促進法の施工及び大型化を可能とする木造軸組み技術、耐火木造の技術の開発等の全国的な流れを一早く捉え、林野庁の補助を受け、先駆的モデル事業として日本初の大型耐火木造のホール建設に着手しました。事業では、木材調達、木材加工、工事施工を分離発注し、地産地消に取り組みました。短期間の工期も、設計、施工側の様々な工夫により24か月で完成することができました。開館後は、静けさと響きのよい木の音楽空間として積極的に事業を取り入れ、多様な文化の交流を促す市民のための文化芸術の創造拠点として、市民に親愛される施設にしてまいります。

名称 寒河江市屋内多目的運動場 チェリーナさがえ
概要

■設計趣旨
 寒河江市では、冬季も健康増進のため屋外スポーツが楽しめ、通年利用のできる施設を望む声に応え、屋内多目的運動場の整備が進められました。
 建物は積雪1.5mに耐える35m×51mの大屋根を支える構造として、張弦梁と吊り構造を組み合わせた「複合式張弦梁構造」としています。張弦梁をマストから吊り、上弦材の負担を軽減スリム化し、外部架構はこの張弦梁を吊るため、バックステイを基礎に定着する構造です。
 スポーツ施設にふさわしく、力感のあるダイナミックな形態をめざしました。外壁・屋根をガルバリウム折板、採光開口はプラスチックの折板を採用、軽量化とコスト縮減をはかりつつ、鉄骨の亜鉛メッキなどの素材を率直に表現するデザインとしています。

名称 鶴岡市立藤沢周平記念館
概要

■設計趣旨
 鶴岡市立藤沢周平記念館は鶴岡公園の緑に恵まれた環境の中で、藤沢文学の世界と親しく対話する場所です。記念館はこの歴史的環境の中で静かに佇み、訪れる人をやさしく迎え入れます。けっしてこれ見よがしに存在を主張することなく、藤沢作品から私たちが感じるような、抑制がきき静かでそして凛とした雰囲気のある存在感を表現しています。内部には地元産木材でつつまれた、やさしく落ち着いた心地よい空間が作られています。展示室で藤沢作品と触れ合ったあとには、周辺の歴史的・自然的環境と一体となったサロンでその余韻を楽しむことが出来る様配慮しました。

名称 山形まなび館
概要

○設計趣旨
 山形市立第一小学校旧校舎は、昭和2年に竣工した山形県最初の鉄筋コンクリート造3階建ての校舎です。ドイツ表現主義とアール・デコ装飾様式の建物で、学校建築史上においても貴重な建物で、平成13年に国の登録文化財として登録されました。
 平成19年8月に提出された「山形市立第一小学校旧校舎保存活用に関する提言」に基づき、全館の耐震補強工事並びに、地階と1階の用途変更改修工事を行い「山形まなび館」として生まれ変わりました。文化財的価値を持つ建物として設計上配慮したのは、安全性の確保、文化財的価値の保存、適切な活用計画に対応出来る耐震補強計画とし、意匠は建設当時の設計図を基に復元に努め、新校舎も旧校舎との意匠の調和をはかりました。

名称 山形大学工学部創立100周年記念会館
概要

○設計趣旨(文責:高宮眞介)
2006年に行われた公募型プロポーザルの要項の中に、事業者がこの建築に求める条件として、「大学のシンボルとなる建築」とか「格調ある集いの場」といったコンセプトが謳われていました。私たちはそれに応えるために、簡潔で自律性の高い幾何学的な建築の構成を提案しました。そしてこの建築にダイナミックな動きを組み込むため、エントランスホールに設けたスパイラル状の階段が、2階から外部の階段に連続し地上の正面広場まで達するような提案をしました。もう一つの提案は、正門の軸線上に「100周年記念プラザ」を計画し、この建築が、そのプラザを挟んで明治期に建てられた本学部の前身、米沢高等工学校の旧本館(重要文化財)の側面に対面するように配置することでした。平成の簡潔な建築が明治の様式建築に対峙することによって、正門にふさわしいアイデンティティをそこに付与し、併せて学部100年の校史を顧みる契機となることを願いました。

名称 甑葉プラザ
概要

 平成18年に行われた設計者選定のための公募型プロポーザルのテーマは「交流と学習による賑わいの創造」でした。これに応えるため、設計では図書館と平土間の多目的ホールを主とする複合的な機能をもった諸室を、建物中央の「祝祭広場」を取り囲むように配置し、2階にはそれらを繋ぐ回遊路を設け、ここを訪れる人の視線が交差し、日常的な賑わいを生み出す場所を多く計画しました。夏祭りや四季折々のイベントがこの広場を中心に繰り広げられ、非日常的な賑わいが華を添えます。
 建築上は雪国の地域性を考慮し、融雪対策や雪除けのための軒空間を多く設けるなどの計画を行いました。また曇天の長い冬の中にある図書館のインテリアとして、ガラスクロスの光天井を発案し、開放的で明るい意匠を心がけました。(高宮眞介)

名称 山形県JAビル
概要

○設計コンセプト
 山形県のJAグループの拠点ビルにふさわしい、品位と風格のある意匠構成を行い、山形市中心地のランドマークとなる建物として、ファサードは、シンプルかつシンボル性の高いデザインとしました。又、内部空間については、多様な専門業務に対応できる充実した機能を装備し、組織、機構改革や配置替え等にも柔軟に対応可能な自由度の高い平面計画としました。 本施設は県下JAグループの拠点施設となる為、災害時の人命の安全確保に加え、建物の機能確保を図るため免震構造を採用、並びに電源の二重化に依り建物本体のみならず、システム全体(IT機器、居住性等)の安全性をも向上させる計画としました。

名称 南陽市立赤湯小学校
概要

○設計コンセプト
 赤湯小学校を計画するにあたって、景観(自然展望)、太陽の光(自然エネルギー)、古墳(歴史・伝統・文化)の三つのキーワードを設定し、それぞれの言葉の持つ意味を反映させた敷地全体をミュージアム(広義的意味あいでの博物館)として捉え、学校が子供たちにとって自由に、自然に、個性的に、そして楽しく体験学習ができる場をイメージしました。
 「チルドレンズ・ミュージアム」=地域の子供と大人が共に遊び、語り、理解し合う、共生のできる場、そして自然と環境に共存し地域社会に開かれた学校とし、屋内外の全ての施設が子供達の博物館構想であるように計画しています。

名称 三川町立東郷小学校
概要

○設計趣旨
 北に出羽富士「鳥海山」東に霊峰「月山」を望み、秋には稲穂がたなびく自然環境に恵まれた地域である。敷地も31,836m2と広く南側にグラウンド、校舎棟には二つの大きな中庭を設け、建物全体が行き止まりのないループ状の建物配置とした。校舎棟は平屋建てとして隣棟間隔25m以上で冬でも十分日差しが入る様にした。教室は多目的スペースを併設し多様な学習が出来る様にした。根曲がり材方杖を設けた登り梁空間は天井高4~7mとなっている。冬の暖房は床下温風式床暖房とペアガラス木製サッシの効果で天井高さの不利益はない。夏は南西に設けた屋根突きテラスが日差しを遮り、教室の開き窓と高窓が西風を取り入れ自然のそよ風が流れ涼しい室内としている。事前に木材を確保する事が公共事業においては難しいが出羽庄内森林組合と地元製材所の協力を得、寒切りと葉枯らしをお願いした。雪国特有の根曲がり材を多用し材料コストの削減と強度の向上をはかった。

名称 金山型住宅・全町美化運動
概要

場所:山形県金山町
担当:金山町産業課商工景観交流係 電話0233-52-2111 内線406
URL:www.town.kaneyama.yamagata.jp
 山形県金山町は、人口およそ7,000人の小さな町である。全町美化運動(昭和38年) に始まった「街並み景観づくり百年運動」が地域住民に定着し、この活動により「金山型住宅」の体系化も図られました。この20年間で「街並み景観づくり」と地場産業への波及効果の成果が着実に現れており、まさにオンリーワンのまちづくりの優良事例として全国から注目を集めています。

名称 鶴岡市 鶴岡タウンキャンパス
概要

 鶴岡市に2001年春オープンした「鶴岡タウンキャンパス」。鶴岡市の中心には鶴ヶ丘城址があり、堀と緑のある公園として市民に開放されている。
 タウンキャンパスの敷地は、その公園に隣接し、センターの棟の前には巨大な人工池のきれいな水を公園まで引き、堀の上水にも役立てている。
 池に面するキャンパスセンターの中には、慶応義塾大学の先端生命科学研究所、地元の自治体などが共同で設立した東北公益文化大学の大学院、生命科学分野などの専門図書館「致道ライブラリー」が入っている。

名称 金山町 明安小学校
概要

 金山町立明安小学校は昭和38年に現校舎が建設され、老朽化のため新校舎が建設されることになった。平成12年の8月に着工し平成14年3月完成した。
 木材の特色ある活用により、児童が日常触る部分の建具、家具及び壁は木材を使用。エントランスホール、回廊の床は現場産のウッドロックを使用し、屋根の架構は、金山杉を加工した大断面集成材でアーチを形成、天井の高い空間を可能にした。
 コンクリート壁の型枠に杉の間伐材を使用し、冷たく単調になりがちな外壁も質感のあるものに仕上がっている。